では、行政書士が行う相続手続における代行業務について触れていきます。
①相続人の調査・確定業務
日本の法律上、相続人は、戸籍上の繋がりで確認します。相続を少しかじったことがある方でしたら、相続人が確定するのには、順位があって、子は第一順位、直系尊属は第二順位、兄弟姉妹は第三順位・・・ちなみに配偶者は必ず相続人・・・等といったことをご存知かもしれません。
では、それを何を以って確認するのかというと、全ては、戸籍です。被相続人、つまりお亡くなりになった方の出生からお亡くなりになるまでの戸籍を確認することで、親、兄弟姉妹、、配偶者、子は、それぞれ誰なのか、を確認し、よく見る家系図というものを作成します。
意外と多いのが、現在の家族は知らない「子」の存在や、「認知」等、数十件に1度の確率でお目見えすることがありますので、我々も行政書士の先生から報告が挙がってくるまで、ドキドキです。
そう、行政書士の先生は、相続人の依頼、委任に基づいて、役所で戸籍を取得します。最終戸籍からたどって、出生迄を取得します。
日本の戸籍法上、複数回にわたり、戸籍制度が変更されているので、これらの変更された者も全て取得します。業界用語では、「戸籍が繋がる」と言いますが、出生から現在までの戸籍をつつがなく、揃う事を「戸籍が繋がる」と表現しますが、この相続人の調査、確定作業が最も代表的な行政書士がおこなう相続手続業務です。
尚、最近では、これらが揃った段階で、法務局に赴き、法定相続情報証明の手続等もお願いすることが増えています。
②役所をはじめとする公的機関における各種証明書発行業務
相続人が確定しましたら、最近ですと上記にある法定相続証明情報手続きと並行して、東京23区であれば、都税事務所、東京23区を除く地域でしたら、市町村役場の税務課において、固定資産の評価証明、公課証明、名寄帳(場合によっては名寄の写し)等を取得することで、固定資産(不動産)の調査・確定作業を行っていただきます。
③金融機関のおける各種証明書取得業務
相続人からの依頼の基づき、各種金融機関にて、被相続人の金融機関口座における残高証明、定期預金においては、相続発生日現在の利息にかかるまでの証明等の取得をいただき、各金融機関から証明を発行してもらうことで、預貯金における相続財産の調査・確定作業を行っていただきます。
④遺産分割協議書作成業務上記②③を含め、税理士、弁護士、並びに不動産コンサルタント等の力を借りて、遺産分割協議がなされ、この遺産分割協議が整いましたら、行政書士は遺産分割協議書を作成します。
この際、遺産分割協議書の提出先は、
税務署、法務局、金融機関・・・等への提出も含めますので、相続人の手元に保管する分も含め、
提出先、提出理由も踏まえ、作成部数についても、相続人、他士業と協議を行う必要があります。
※全ての提出先に、全く同じ遺産分割協議書を提出する場合もありますが、必要に応じて、提出先に必要な協議内容だけを記載した遺産分割協議書を作成する場合もあります。但し、この場合、税務署へ提出する遺産分割協議書には、過少進行を疑われれるリスクがあったあると困りますので、全てを網羅すべき必要があります。
⑤金融機関における名義変更業務
遺産分割協議書の作成が完了すれば、あとは、遺産分割協議書に沿った形で相続財産の名義変更をおこないます。
被相続人が口座を開設した全金融機関に赴き、相続人名義に変更していただく必要があります。
尚、上記③もそうですが、各種金融機関は、
各支店、店舗ごとに相続手続の専門家やサポート体制が整っているわけではなく、各金融機関に相続サポート専門の部署があり、そちらでの一元管理されている金融機関が様々です。
そのため、上記③でも数回、金融機関に伺う必要があり、こちらの⑤においても、複数回、金融機関に伺う必要があったりもします。
※信金、信組の場合、お客様担当の方が、ご自宅までいらしていただけることもあり、実際の支店、店舗へ足を運ぶのは、1-2回のみ・・・という場合もあります。
⑥証券会社、端株における名義変更業務
金融機関と同様に証券会社には、相続手続センターがあります。
各証券会社毎に内規がことなり、手続きに数週間で済む証券会社もあれば、2-3ヶ月の期間を要する証券会社もあり、必要書類が揃っていても、何度か、電話対応も迫られることもあります。