リバースモーゲージは、あくまで、金融機関が
提供する「商品」ですので、法律でもなく、
国、地方公共団体が提供する制度、サービスではない・・・という理解を最初にする必要があります。
何を言いたいかというと、民間金融機関の「商品」
ですから、当然として、金融機関は、「業」、つまり、
商売として、リバースモーゲージを取扱っていますから、
このリバースモーゲージを利用する利用者の損・得と比較すると、当然、そこには利益が相反する関係にあります。
リバースモーゲージの基本的条件として、
所有するマイホームであることが挙げられます。
リバースモーゲージを利用する際、
金融機関は、相談者様、お客様に対して、
金銭を貸し付けるにあたって、担保をとる必要がありますから、
相談者様、お客様のマイホームに抵当権を設定します。そのため、ご親族名義の自宅の場合、利用はできませんし、住宅ローンや賃貸併用住宅に伴うアパートローン等の残債(ローンの残り)があっても利用できません。
また、実際にリバースモーゲージにおいて、
幾らの貸し付けをしてくれるのか・・・は、
そのマイホームの価値が全てです。
こちらは、各金融機関によって、その評価手法が
異なりますが、
戸建住宅であれば、建物についての評価は0となり、
土地のみの評価となります。
更には、この土地の評価については、
一般的に市場で流通する土地価格よりも2-3割
低いと言われる相続税路線価から算出した評価額
とされる金融機関もあれば、その半額となる金融機関もあります。
中古マンションであれば、金融機関の関連会社の
査定によって、マンション自体の市場流通価格の
半額となる金融機関が多いのが現状です。
金融機関としては、このリバースモーゲージを利用される相談者様、お客様に金銭を買い付ける一方で、
リバースモーゲージの利用者である相談者様、利用者様が他界された場合に、そのマイホームを売却して、売却して得た価格から返済を受ける・・・という考え方のため、マイホームの評価は、かなりシビアです。
10年、20年後にそのマイホームを売却した時に、
損をしてはいけない・・・汚い言葉を使えば、
「とりっぱぐれ」があってはならないのです。
ですから、評価額の半額でありますし、
ましてや、戸建の建物は、原則解体するので、
評価なんてするわけもありません。
場合によっては、解体費用相当額まで、
評価額から控除されることもあります。
且つ、リバースモーゲージを商品としている
金融機関は、「とりっぱぐれ」の無い様、
そのマイホームの売却想定価格は、
エンドユーザーの購入する市場流通価格ではなく、
多少の難があってもリスクを背負てでも、
2-3割安ければ、買取ってくれる不動産業者、
買取業者の価格を1つの評価の目安としているため、
実際のマイホームの評価額の半額程度でしか
評価はしてくれません。
また、上記からも分かる通り、
リバースモーゲージの利用者の相続と同時に、
そのマイホームを売却することが前提ですから、
配偶者を除く家族(子、孫、)が同居されていても、リバースモーゲージは利用できませんし、
賃貸併用住宅として、一部を賃貸にしている場合でも、ケースバイケースですが、リバースモーゲージが利用できないことが多々あります。
また、上記では、配偶者であれば、大丈夫・・・と思われがちですが、配偶者との年齢差がある場合、目安としては、配偶者の年齢が50歳、金融機関によっては、60歳未満の場合等、リバースモーゲージを利用できないことが多々見受けられます。
よく、ワイドショーなど「年の差婚」等を見て、
羨ましがっている殿方、奥方、いらっしゃると思いますが、その時には、心の中で、その悔しさをこめ、
「あーあ、リバースモーゲージ、使えないね!」
と思ってうっぷんは晴らしてください!
また、リバースモーゲージを利用を開始された後の注意点があります。
それが、「遅延損害金」です。
リバースモーゲージは、上記の通り、
マイホームを担保に提供する、
つまり、マイホームを金融機関に差し出す代わりに、
お金を工面してくもらう制度です。
ですので、リバースモーゲージの利用者が、
他界した瞬間に、本来は、金融機関より
工面してもらった金額、つまり金銭を一括弁済
(一度で返済)しなかればなりません。
リバースモーゲージの契約をするのは、
マイホームの所有者、つまり、この時点では、
お亡くなりになった被相続人、
もっと分かり易く言えば、お父様、お母様、
おじいちゃま、おばあちゃま、兄弟姉妹かもしれませんが、
お亡くなりになった方が、リバースモーゲージの
契約を締結しています。
そして、そのリバースモーゲージの契約書に
記載されている契約条項等、その相続人である
子、孫、兄弟姉妹は、知る由もありません。
ここで、何が問題になるか・・・というと、
「遅延損害金」です。
リバースモーゲージは、被相続人のマイホームを
担保に、その所有者に金融機関がお金を工面(貸出)してくれること・・・という事は理解いただけたと思います。
なので、そこには、当然、金利がかかります。
リーバスモーゲージを取扱っている各金融機関の内容を確認しますと、概ね3.5~4%前後の金利が設定されています。
相続人の方からすれば、
「ま、借りているんだから、仕方がない」
という認識があると思います。
なので、この借りたお金に対してかかる
3.5~4.0%程度の金利については、皆さん、理解もされますが、
「遅延損害金」というものがかかる・・・という事実は、相続人からすると、知る由もありませんし、納得もいきません。
では、このリバースモーゲージにおける「遅延損害金」とは、何かというと、ここまででも記載のある通り、リバースモーゲージは、被相続人の他界と同時に、これまで、金融機関が工面(貸し出)してくれた金銭を一括弁済する「商品」です。
そうです、上記にある通り、
被相続人の「他界」、つまり「相続」と同時に
一括弁済しなかればならない・・・
これが、リバースモーゲージです。
とはいえ、相続した不動産を、すぐに売却する
・・・なんてことは、できません。
遺言があれば、まだしも、
遺言が無い場合は、
①法定相続人の調査・確定
②遺産分割協議
③不動産先の検討
④不動産売買契約の締結
⑤不動産売買契約の決済(引渡し)
という過程を経て、不動産は、
ようやく現金化されます。リバースモーゲージの
対象となるマイホームも、もちろん、これと同じ経過を要します。
そうすると、本来は、被相続人の他界と同時に返済すべきものが、数ヶ月先、場合によっては、半年、一年先・・・となる可能性もあります。
そうなった時に課せられるものが「遅延損害金」です。
そうです、本来は、被相続人の他界と同時に
一括弁済すべきものが、数ヶ月、半年、一括も
遅延しての返済となるので、遅延損害金が発生します。
リバースモーゲージの契約を締結した本人、
お亡くなりになった被相続人しか知る由もなく、
その相続人は、そんな契約内容、知りえません。
しかも・・・その遅延損害金の金利は、「8%
」を超える高金利です。
もちろん、「遅延損害金というものがかかりますよ」
なんてこと、金融機関の方が、相続人の方に、
わざわざ教えてくれるわけなど、ありません。
そう、相続発生と同時にこの遅延損害金は発生し、
8%を超える高額な「遅延損害金」が、
葬儀の打合せしている、その瞬間も、
通夜、告別式をしているその瞬間も課かっています。
とはいえ、大抵の金融機関では、
この「遅延損害金」についての「返済免除の猶予期間制度」があります。
相続が発生してから一定期間以内に申し込むことにより、相続発生後1年以内であれば、この8%という遅延損害金を返済免除されます。
これを聞いて、少し、ほっとしますね。
ですが、この一定期間の「返済免除」について、
そのような制度がある・・・ことを知っている
金融機関対象者は、ごく僅かです。
ごく僅かということは、このリバースモーゲージ
のお世話になった被相続人の相続人には、
教えてもらえず、8%という高い金利である
遅延損害金を請求されるケースが多々見受けられます。
なんか、腑に落ちない・・・と思いながらも、
金融機関の内規のようだし、亡くなった被相続人に、
「なんで、こんな契約したの!」
「なんで、教えてくれなかったの!」
と今更、問いただすこともできず、
怒りの矛先の向けようもないまま、渋々、
深いため息とともに、遅延損害金と含めた一括弁済
をされる方も少なくありません。
これは、道徳上、金融機関側の責任であることは、
間違いありません。ただし、法的には、
被相続にが締結したリバースモーゲージ契約の
契約書には記載があります。
相続人は、被相続人の債務そのものも相続しますので、
「そんな事実、聴いていない」という主張は、
法律上、受け入れられません。
もちろん、気持ちの面では、痛いほど、分かります。
では、どうして、このような事になったのか・・・
最大の要因は、実のところ、CM、広告では、
大々的にアピールされているリバースモーゲージですが、
実のところ、一部の金融機関を除いては、
あまり、取扱実績がありません。
そのため、メガバンクでも、地方銀行でも、
信用金庫、信用組合でも、取扱が少なく、
金融機関内の手続き等も理解しているスタッフが
欠如しており、金融機関自体でも、手探りで
進めていることが多いのです。
また、相続の専門家である税理士や弁護士、
司法書士や、行政書士でも、このリバースモーゲージの
「遅延損害金」規定を知らない方が少なくありません。
ですので、両親、祖父母、兄弟姉妹等、
親族がリバースモーゲージを利用されている・・・
という方がいらした場合、
リバースモーゲージを設定している金融機関への
事前の相談、そして、相続が発生した暁には、
税理士、弁護士、司法書士、行政書士に、
リバースモーゲージを利用している事、
そして、この遅延損害金について、
不安をいだいていること・・・等をきちんと、
相談し、可能であれば、一刻も早く、
金融機関に一緒に同行していただけるように
お願いすることをお薦めします。
当社、株式会社brandsでは、上記の通り、
リバースモーゲージの取扱いや、
「遅延損害金」の対応等についての
相談、コンサルティングも行っております。
リバースモーゲージに疑問を抱える方、
リバースモーゲージの「遅延損害金」に不安を抱える方、
リバースモーゲジの検討を考えていらっしゃる方
は、一度、当社、株式会社brandsにお問合せ下さい!