それでは、生命保険の活用方法として、
相続対策の3本柱の1つ1つについて、確認します。
①遺産分割対策
生命保険は、民法上は、受取人の固有財産です。
そのため、ごく稀に例外もありますが、通常は、
生命保険の受取人が受領する保険金は、
受取人自身の財産であり、相続財産とは区別されます。
とはいえ、だからといって、あまりにも過剰な、
度を過ぎた利用、活用、濫用をしますと、
当然、原則からはずれた例外となります。
原則とは逸脱したケースの場合、最高裁の判例でも、
受取人の固有の財産ではなく、相続財産である・・・
と認めれた判例もあります。
また、受取人の固有の財産であるからして、
・・・つまり、相続財産ではない・・・となると、
相続税の観点から、相続税の課税(租税)回避のために、
「現預金を全て生命保険にしてしまえ!」という
これまた乱暴な発想もありうるため、税法上は、
「みなし相続財産」という扱いになり、
本来は、民法の通り、受取人の固有財産であるからして、
相続税の課税対象から外すべきなのかもしれませんが、
上記の通り、課税(租税)回避のために、
利用されては、困りますので、「みなし相続財産」
として、原則、相続税の課税対象とされています。
では、この、民法上は、受取人固有の財産となる
生命保険を①遺産分割対策として、どのように
活用するのでしょうか?
・代償金(代償交付金)の一部に充当
相続が発生して、相続人が複数いる場合、
その相続財産全てが、相続人に均分に分割できる
財産であるとは限りません。
例えば、相続人は、長女と長男の2人で、
相続財産が、
3,000万円の土地(長女家族と同居)、
※建物は長女の夫が建築
2,000万円の現預金とします。
この場合、相続財産の合計は、5,000万円。
もし相続人である長女、長男で分けようとすると、
綺麗に分けることができません。
現預金は、1,000万円ずつ相続すれば良いですが、
まさか、長女の自宅の土地の長女、長男で
1/2ずつ相続するわけにもいきませんし・・・。
これが、長女、長男が仲が良く、
3,000万円の土地は、長女
2,000万円の土地は、長男
となれば、話が纏まりますが、
数百件、数千件の相続相談を受けてきました
当社、株式会社brandsとしては、
安易に、性善説を期待するわけにもいきません。
このような場合、
保険に加入する金額は自由ですが、
例えば、2,000万円の内、1,000万円を
受取人:「長女」とした生命保険に加入します。
そうしますと、相続財産は、
3,000万円の土地
1,000万円の現預金
となり、相続財産の合計は、4,000万円となります。
法定相続分で相続しようとすると、
長女:2,000万円、長男:2,000万円と
分割する必要があります。
ここで注目すべきは、長男:2000万円です。
長男は、現預金:1,000万円は確定しているので、
残り、1,000万円相当を必要とします。
ここで、長女のマイホームである土地の
1,000万円の持分を長男に相続させてはいけません。
ここで利用するのは、長女が受取人となっている
1,000万円の生命保険から入金される保険金です。
本来であれば、土地の持分:1/3を長男に相続させる必要がありますが、その代わりに長女が、この保険金の1,000万円を、長男に支払うことによって、
長男は自身が法定相続分に基づく相続分である
2,000万円を相続することができます。
このように、
本来相続する権利のある財産に「代えて」
「金銭」で「償う」ことから、「代償金」や、
保険業界では、「代償交付金」等と言います。