相続対策には、①遺産分割対策、②納税対策、③納税対策と大きく3つの対策があり、これを、相続対策の3本柱と言います。
①遺産分割対策とは、一言で言えば、
相続が発生した際に、其々の相続財産の名義を相続人名義へ変更するにあたって、いかにしてスマートに名義変更させるか・・・といった対策です。
その手段として、生前贈与、遺言、信託の活用が挙げられます。生前贈与は読んで字の如く、生前、つまりご本人が元気なうちに、相続人に対して、財産を贈与することです。当然、一定の金額(価値)を超過する贈与には、贈与税が課税されます。こちらの生前贈与は、あくまで、遺産分割対策として検討される場合は、税金度返し、つまり、税金は後回しで、いかしにして、生前に、特定の相続人に対して贈与を行い、相続財産の帰属先を確定させるかが、重要になります。ただし、当然、多くの方は、この贈与税という言葉に敏感になります。この贈与税が気になる方には、注意点として、贈与税がかかるから・・・という事自体には迷わされず、実際に相続が発生した際に課税される相続税の実効税率と比較して、贈与税の税率をみながら、生前贈与されることがおススメです。
遺言については、近年では、ようやく市民権を得てきた制度となり、多くの方にその、存在や有効性について認識されはじめましたが、一言で言えば、自身の財産について、相続発生時に、その財産の帰属先についての想いを書面につづることです。
遺言は、現状の法律では、7種類の遺言がありますが、一般的には、自分で記入する自筆証書遺言と、公証人を交えて作成する公正証書遺言が存在し、この2種類が一般的です。
民法(相続法)改正、に伴い、自身で記入する自筆証書遺言もだいぶ、利便性があがりましたが、そうはいっても、やはり相続対策のスペシャリストから言えば、公正証書遺言を作成するに越したことはありません。
最近では、相続対策として信託制度を利用されるケースも散見されるようになりました。信託法の改正に伴い、上手く利用することで、相続対策においても大変有効に活用することができるようになりました。
巷では、民事信託や家族信託等と呼称されますが、万が一の認知症対策としての機能と、財産管理としての機能、そして、遺言としての機能をはじめ、これまでの制度を大きく覆すような斬新で画期的な制度のため、昨今の相続対策においては、利用されるケースが増えました。
このような生前贈与、遺言、信託の活用によって、自身に相続が発生した際、各財産の帰属先を予め決めておき、相続人間で遺産争いや紛争が生じたとしても、各財産の名義、帰属先を生前に行う遺産分割対策によって、確定させ、名義変更自体をスムーズに行わせることが遺産分割対策となります。